« 最近好きな飲み物の話。 | トップページ | 次のタイミングがどうにも読めない。 »

2012年2月12日 (日)

パーソナルムーバーに思うあれこれ。

何回か前からの東京モーターショーで、一人乗りの乗り物でより自在に動けるものがピックアップされるようになりました。一番熱心なのはトヨタで、実際に動いているのを見るとなかなか魅力的です。移動速度でキャノピーの角度が変わるとか、なかなか唸るじゃないですかw。低く構えるほど低速でも速度感を演出できるので、ああいう設計はとてもいいと思いますし、実際走らせてもカーブでの安定感が段違いでしょうし、逆に低速域で立ち上がっていると車両感覚が掴みやすく、乗降がしやすいと思います。

パーソナルムーバーといえば世界的にメジャーなのはセグウェイだと思いますが、日本では道路交通法の都合公道での運用ができません。たかだか30km/h弱の中であの人車一体感、本当に素晴らしいだけに残念です。同様に、各社が開発しているパーソナルムーバーは法的に否定されてしまうものがほとんどだと思います。思いのほかある人間の脚力で進み思いのほかディスコントローラブルな自転車よりも、それどころかその身一つで走る人間よりも、動的に管理される分安全な乗り物であるにも関わらず、です。(自転車の危険性を了承している状態でパーソナルムーバーの類を否定するのは理論的に難しいとさえ思うのですが…)

セグウェイをより小さくしたウイングレットというトヨタの乗り物は、公道で乗れるなら相当流行ると思います。でもこれも道路交通法上動力がある乗り物ということで普及は難しい。運動不足が社会的に問題となっている昨今、自転車はまともに使えば楽しくカロリーを消費できる本当にいい乗り物だと思うのですが、残念ながらモラルが追いついていません。自転車も免許制にすればいいのに。

あえて並べて書いてみました。
自転車の普遍性が実のところ社会的にはただの惰性であると気づいて頂けたでしょうか?もし私がフリーマーダラーの権利を持っていて、なるべく安い経費で事故を装って人を殺して欲しいと言われたら、量販店で26インチ以上のタイヤ履いた自転車買ってターゲット轢きます。服の下にプロテクターつけて首に鞭打ち防止のシェルつけた上で。実際に事故に遭われた、ないし身内でそういう不幸があった方ならお分かりでしょうが、経験ない人はそうでもないかな。歩道走ってもそんなに咎められない上にナンバープレートもない、当たり前に売ってて身の証を立てずに入手するのも容易、そんな自転車ですが。具体的な計算はしたけりゃしたい人に任すとして、15km/hも出てれば轢かれた相手に致命傷を与えられます。で、26インチあれば45km/hは出ます。ある程度腕があればあれこれ避けながら(飛んだりもしつつ)対象に接近するのは容易です。轢く方は身構えますからダメージ軽減は可能ですが、後ろから轢かれたりした日にゃまあ余裕で死ねます。軽度で済んでも狙われたとすれば重傷。自損事故は身構える事ができます、それでも致命的な事故になることがあるのに、不意打ちでその状況をパッシブに起こされたら?

たかが15kg程度の乗り物で、と思うかもしれません。実際には体重がプラスされるので、まあ概ね50kg程度プラスされる事になります。余談ですが不意打ちというのは怖ろしいもので、体重が一般的な成人男性程度あれば、スプリントペースで15mほどダッシュして体当たりでも相当な確率で相手は重傷です。道具は一切いりません。そのくらい運動エネルギーというのは怖ろしいわけです。

話をパーソナルムーバーに戻します。電気的に動いているものは管理がしやすいというメリットがあります。故意の暴走を引き起こそうとして管理回路をいじろうとするとロックがかかる設計のものがほとんど…というか、ああいうものは普通に走らせるためにとんでもない量のコンピューター介入があるので、普通の人にはまずいじれません。セグウェイって5CPU並列動作でそのうち一つでも死ぬと動かないんですよ。あまり言及される事がありませんが。加えて自動車用の制御系回路ってものすごくて、すべからく専用設計ですから、IT機器基準でありえないものが普通に実用化されてます。レクサスLSのクルーズコントロール(前走について行き、加減速から停止までやるロボットシステムです)はNEC製の128並列処理プロセッサを二機搭載しています。ようは256コア(!)のCPUと二つの目とレーダーであのシステムは動いています。その処理を可視化する必要がないのでそれくらいで済んでいますが、夜間の運転で車からは見えてるけどドライバーには見えてない人を表示するシステムを積むと、さらに複雑化します。だいたいの場合危険があるとその手の車は自動回避シーケンスに入る=人間以外の操作を許容するので、人からしてみりゃ車が言う事をきかないと思うかもですが安全性については人間のそれをはるかに凌駕するわけです。

車ではありませんが先頃導入が決定したF-35A戦闘機はカメラで全周を常に見ています。下面に視野が必要ない自動車で同じ事をするのはそう難しくないでしょう。人に見せる必要もないわけですから(機械が把握できていれば十分ですから)。人間には不可能な全周監視が可能なわけです。

コストを考えない話になってしまってますが、車のシステムが全周見る事自体はそんなにコストはかからないです。レンズを魚眼にしてやるだけで一つのカメラの視野は広がるので。人の理屈の上で動く必要が機械にはない、というのが意外と思考の落とし穴だったりします。いらない部分のオミットや人間では不可能な方向への最適化など、これまた挙げるときりが無かったりします。

そして、パーソナルムーバーというのは、現実には社会的に十分すぎるほどの実証実験を既に終えています。せいぜい人ごみの中における回避や混みあった道路上での車間コミュニケーション技術くらいでしょうか。現状の前舵だけでは不可能な挙動、それをモーターショーで展示していて量産機を持ってないのはホンダくらいでは?トヨタも日産も既にやっているんです。それも、とっくの昔に。乗用車メーカー以外も含めると相当な数になります。


折りたたんでから種明かしをするあざとい私w。
勘のいい方、実務経験者の皆さんはご存知だと思います。
そう、セグウェイやウイングレットクラスの極小といえるものを除けば、ほとんどのパーソナルムーバー技術は実は建機や作業機の技術のスピンオフです。電動のものはバッテリーフォークリフトほとんどそのままですよ。流通現場に不可欠なそれらが、日本国内だけでどれくらい存在するかを考えれば、かなり今更なんです。しかも、前に荷重がかかるフォークやローダーなどと違い、積荷である乗員は重心のほぼど真ん中、動的な部分で考えるべき事は作業機より少ないと言えます。

作業機で作業をする場合、労働安全衛生法の資格が必要になりますが、走らせるだけ…公道を移動するだけであれば、最も簡単な免許を取得することで可能です。小型特殊自動車運転免許。かつては原付免許より下位で原付持っていれば小型特殊自動車は運転ができました。今は分かれましたが、運転免許のカテゴリー欄を全て埋める事を目指した人泣かせのカテゴリーでした。なかなか気づかない。ちなみに普通免許でももちろん大丈夫です。それでも軽トラックくらいの大きさの作業用ダンプとか運転できるんですよ。ただし最高速度は25km/hと法律で定められていますが。

それより下のカテゴリーだと電動車椅子…よくシニアカーと呼ばれるあれですね、あのあたりになります。人の小走り程度の速度しか出ませんがナンバーは不要な筈です。免許も。乗っているのが主にご老体なのでよく事故の話を聞きますが、簡易免許を交付することで責任を付与すれば安全性はより(今でも自転車よりはるかに安全性ですが)保たれると思います。

長くなりましたが本題です。電池もいつまでも高くはないでしょう。モーターだってまだ改善が見込まれる分野です。その上愉快不愉快は別として「管理」という要素を付加できます。パーソナルムーバーを否定する理由がどんどん減っていく筈です。簡単にクローラーに換装可能なものがあれば、雪国で豪雪の中でもスーパーカブで新聞を配るなんて無茶もなくなります。何より、

パーソナルムーバーの方が自転車よりはるかに安全です。

経済的な面での厳しさはあるかもしれません、しかし自転車で大事故起こす(貰うではなく)ライダーは、自転車に中古自動車が余裕で買える程度の金を突っ込んでいます。通学用自転車も日本製のまともなものにすると、その価格帯は既に電動スクーターと被りますし。
経済的なことは後回しにするとしても、並行してやるべきことが国土交通省及び警察庁には二つあります。

一つはパーソナルムーバーの法的な基準を新規に制定し、公道での利用を可能とすること。
もう一つは自転車に原付相当の免許義務化と、視認できる大きさのナンバープレート及び出自を明らかにするIC管理チップ装着を義務付けること。

ぶっちゃけ諸外国でできて日本でできない事が多すぎるので、そのへんの整理もまとめてやるべきですし、自転車の管理意識を改めないと既に自転車をあまり見なくなった東アジア以下です。

4人も乗れる車がいらないとはいえバイクだの自転車だの寒い危ない、では、少々頑張れば公共交通網にアクセスできる大都市圏はともかく地方都市で収入に対するモータリゼーションへの出費バランスが狂う一方です。そして安全(自動車の速度基準は今では考えられないほど低性能だった時代に定められたもの、非現実的な法制の象徴。一方で自転車の方も制度が上がり昔では考えられないほど高速な移動手段となったのに、未だに歩道走っても飛び出ししても注意程度、ノーブレーキピストなんていう人間ミサイルでやっと逮捕、なんてナンセンスが横行)についても。環境について論ずるなら自動車は高いギヤ比で減速せず走り続けるのが一番環境には優しいということも忘れてはいけません。自動車に低速走行を強いる事は環境負荷であり、エココンシャスである自転車とはいえ責任を付与しない事は安全負荷です。

厚生労働省は地味ながらタバコ問題を頑張っていて、その結果が近年目に見えるかたちになってきたように思います。中毒性を考えたら不可能に近い案件だと始めた当初は誰もが思った筈です。しかしそうではなかった。
国土交通省と警察庁にも頑張って頂きたいのですが。
企業がクリーンムーバーに可能性を見出している今、経済的にそれらを回すためにも必要な案件であると思います。

|

« 最近好きな飲み物の話。 | トップページ | 次のタイミングがどうにも読めない。 »