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2012年1月 4日 (水)

物騒な話は好きではないが。

嫌いでもないw。
年始来ツイートでユーロファイター勢の負け惜しみに追い討ちをかけ続けているわけですがw、ツイートだけでなくこちらでも簡単にまとめてみましょうか。

まず決定したF-35A以外の機体が不採用になった理由について。
●ユーロファイター タイフーン
・そもそも日本において縁起悪い名前w。加えて言うならここはヨーロッパじゃない。売り込みに熱心になるなら、商談の前に礼儀として改善すべき事がある。
・第五世代が大陸…というか仮想敵国に(なんちゃっての可能性が高いにせよ)存在する現状において、スラストベクタリング非搭載、水平尾翼非搭載でマヌーバー絶望的。あの機体は9Gまで耐える世界でも稀有な機体の一つだけど、それは単純旋回におけるもので切り返しの性能に優れるかというとそうではない。実際、開発国で導入キャンセルした国は主にドッグファイト性能の低さとそれぞれのロールにおける立ち位置の中途半端さを挙げている。
・米軍とのシステム戦略ネットワーク用の技術全てを、今回の商談内容だと日本が負担する事になる。決定機には標準採用なので、この差額分決定機はユーロファイターに対しディスカウントされることになる。
・最もナメられている部分、ユーロファイターの開発参加国+米国が決定機のおおよその開発参加国である。ようはユーロファイターはワゴンセールの型落ち品。

●F/A-18E/F スーパーホーネット
・航空宇宙産業展に唯一候補機で出展する程度にやる気があったようだがこれも在庫処分。後継機が決定機のバリエーションであるという時点で、ワゴンセールの型落ち品という意味ではユーロファイターと全く同じである。近代化改修したものの予定数調達が見送られた分を、日本で取り返すハラだったと思われる。ただしこいつは戦略ネットワーク用のアッセンブルに出荷状態で対応なので、ユーロファイターよりは経済負荷は低い。
・うるさい。とにかくうるさい。厚木市で大問題になっているだけでなく、デモフライトに訪れた全ての地域で苦情が出る程うるさい。こと騒音にスポットを当てた場合、デジベル云々でなく人間の可聴領域内で不快に思う音がどれだけ出ているかを吟味すると、ホーネットファミリーは歴代の世界の航空機においてワーストワンだと思われる。そのあまりのうるささに冷戦時代米軍の大西洋海底測音施設(艦船探索用)にかかっちゃってたソビエト軍のツポレフ・ベアより精神的にうるさいと判断されるかと。繰り返しになるが厚木に配備前に頻繁に飛来しただけで大問題になった機体の眷属である。その大迷惑を身に被る考えがない程度には防衛省には人間性がある(苦笑)。

おまけですが。
●F-22A/B ラプター
・米政府ですらお金出せないと言っちゃう程高額な上、こいつはマルチロール機として完成しておらず、おそらく対地型装備は別機体になると推測され、さらにその改修プランは諸々あってF-35より前に完成する見込みがない。すなわち、日本側の要件である筈のマルチロール機にこの機体は当てはまらず、迎撃機としては大変優れた性能を持つものの、自衛隊が遠距離対空迎撃に使うのは主に地上装備と艦船であり(笑)、日本側の実情に則していない。それに気づいたためF-35Aにシフトせざるを得なかったと思われる。単機での性能は確かに素晴らしいのだが、IHIの頑張り次第で心神がこれ以上の機体になる可能性も高く、F-15代替機のタイミングでも候補機にならない可能性が高い。

米政府の金しぶりが新型遅延の大きな理由ですが、これは大きな理由があって。無人機導入を積極化させているためです。無人機の運用で最も難しいのは着陸、次が操縦のための通信と同期であるとの説明がとある日本のメーカー関係者さんからありましたが、米軍はプレデター・リーパー・グローバルホークの実用化で既にモノにしています。偵察用(シーカードローン)まで含めると相当な数の無人機が既に商品化済みで、それらの展示会には「有人機では不可能な設計のもの」も多数出展されています。全翼型攻撃機の潜水艦からのリフトオフには成功したものの着水回収は無理という結論に至ったそうで、どうするんだろうと思ったらなんと左右にリフトファンですよ。質量の小さい無人機だから可能な設計で。お高いミサイルをローンチする使い道しかなかったVLMS搭載潜水艦が再利用可能な航空機の空母に化けるわけで、その使い勝手を想像するに既存航空兵力の新規継続開発はまずなさそうです。

※コマンチのキャンセルも、陸軍向けの優秀で安価なシーカードローンが多数できた事と、それに絡めてシステム戦略で即時空爆要請ができるようになった事が主因なようです。偵察を人間が行う時代はまもなく終了の気配。皆さんも一度は見てるでしょ、空を自在に舞うほやのような物体(笑)。ああいうのが主力になっていくわけです。

となるとどうして(トロいながらも)F-35の開発は進むのかという話になりますが、あれは国際共同開発機であり純然たる米軍機ではないからです。日本より貧乏な国も参加してますので、日本が買えない額に膨れることはまずありません。金銭的にワリを食うのはB型(ジャンプジェット=垂直離着陸機)をハリアーの代替機として導入する予定の英米だけです。

凄い誤解が渦巻いてるので訂正しておくと、FBW(フライバイワイヤ、簡単に言うと操縦系のコンピューター制御)搭載機が非搭載機より操縦が難しくなることはありません。運動・移動の部分をマンマシンインターフェースにおいて簡素化し、本来の目的…戦闘機の場合攻撃…をスムーズに行うというのは、航空機に限らず業務系の移動機械では常識化している事です。(農機や建機を運転すると、そのあまりのイージードライブに驚きます。鉱山で活躍する超大型ダンプカーのドライバーには女性も多いです)

ラプター・JSF候補機・コマンチなどほぼ同時期に開発してきた機体は、いずれも操縦の容易さと機体情報の把握のしやすさが特徴です。計器類が数多く並ぶコックピットは過去のもので、前面の液晶モニターとヘルメット搭載のHMDで、直感的な操縦と状況把握が可能になっているのが第五世代機最大の特徴であり、ステルスの方はむしろおまけです。
FBW機の要は機体制御用のプログラムです。これ以上やると落ちるという挙動をやると、多くの場合リミッターがかかります。余談ですが開発コード・ホープレスダイヤモンド(笑)であるF-117A爆撃機は、その特殊すぎる形状から可能なマヌーバーが限られており、フルマニュアルコントロールを試みるとまず墜落すると言われています。パイロットが現地着くまでやってるのは、方向と高度の指示程度だそうです。じゃあなんで人乗ってんの?という話になりますが、あれの開発当初はターゲットの識別と終端誘導は人力でないといけなかったんです。今は無人機でできます。なので退役始まってます。

また、カッコイイのにラプターにコンペで負けたYF-23ブラックウィドウⅡは、FBWコントロールのバグで墜落したのが致命傷でした。水平尾翼の必要性がマヌーバー用に限らず指摘されだしたのもこの機体のコンペ落ちがきっかけだったように思います。ようはFBWシステムを組むに当たって、素の航空機として普通に飛ばないようでは極めてセッティングが面倒であると。そしてマヌーバーの鬼であるロシアの優れた戦闘機にはすべからく水平尾翼があると。あれは運動性と安定性の両面において必要なものである(有人機であれば)、との判断が米軍内であったように思います。加えて、ノズル側面に遮蔽版的に何かが存在するのはノイズカットに有効であるというタレコミを頂きました。言われてみればA-10もグローバルホークもそうなってますし、心神も水平尾翼の位置は相当後ろです。

このへんを鑑みると、F-35A導入はきわめて妥当であるという結論に達する他ないです。
もうちょっと突っ込んだ話をします。コストと国力両面に引っかかる大問題です。
長くなるので畳みます。

航空機で最も入手困難かつメンテナンスが厄介、かつお金がかかる部品ってなんでしょう?エンジン?違います。エンジンのないグライダーにも搭載されるものです。そう、パイロット。

空の上では地上より厳格なマナーが存在する上、戦闘機であれば戦闘機、攻撃機であれば攻撃、輸送機であれば積み荷の安全な輸送、旅客機であれば大事なお客様の快適さと安心という目的が移動の他に存在するわけですが、それらを培っているのは全てパイロットの腕です。相応の性能の機体には相応のパイロットが不可欠です。イギリス軍はあまりにも落ちやすいハリアーのパイロット調達費用を少しでも下げるため、モデルサイクルのいよいよ大詰めとなった現在でも近代化改修に努めています。それでもなお、ジャンプジェットのパイロット養成費用は莫大と言われています。日本で言うと配備機の現状での頂点であるF-15のパイロットを「イーグルドライバー」と呼び称えますし、米軍機ないし部隊においても、一定のキャリアを経ていないと就任できない機体・部隊があります。A-10Cによる地上攻撃部隊の構成員は戦闘経験の多いパイロットに限定されていますし、命令があればわずか十時間で実戦部隊として機能する米空軍のトップスター、サンダーバーズのクルーも実戦経験者が条件です。実戦で飛ぶ以上は相応の訓練を詰んでおり、その養成費用、そしてギャラは破格です。回転翼機であればなおさらで、アパッチの教練過程には「キャノピーに完全に封をして離陸からフェリー・ミッション・帰投着陸までをシーカーポッドの赤外線映像だけでやる」という(勿論実機で)シーケンスが最後にありますが、そこに至るまでに使う時間・施設費用などとんでもない額です。日本にアパッチがたった6機なのは養成施設に金回らないと後から気づいちゃったせいという説もあります※。コマンチはFBWでまるでゲームのように飛ぶ革新的機体でしたが、米政府(米軍ではない)がキャンセルしたせいで日の目を見ませんでした。

※これ丸紅ルートの汚職だって指摘が一切なく、F-35Aの件をロッキード事件の再来って今から騒いでる情弱さんが多い状況に頭を抱えます。

で、FBWの話に戻りますが。操作の簡素化=パイロット調達費用の超大幅削減なわけですよ。徴兵制度がない日本のような国では、フライトクルーとして適性が高い人材が志願してくれる可能性が他国より低いわけで、来てくれた若者への間口を少しでも広げる可能性として今回の選択は有効ですし、勿論税金の削減にも繋がります。(勿論T-4までは乗りこなす必要がありますが)
F-2A/BもF-35A同様FBWですが、あれはまだシステム戦略用のネットワーク機器が入るとこまで近代化改修されていないので、F-35Aが日本で最初のネットワーク導入航空機になるやもしれません。

富士重のフューチャープランでは、自衛隊でもジェット型・回転翼型それぞれのシーカードローンがシステム戦略のフロントラインに出る、という説明がありました。米軍がA-10A(OA-10)をA-10Cに改修してネットワーク対応とGPS誘導に対応するにあたり、コックピット内にモニターを導入するなどして別物に近いものに仕上げたそうですが、現場では扱いやすく好評とのことでした。ネットワーク対応とインタフェースの最新化は展開部隊全てに要求される要件になるでしょう。航空機だけが対応しても意味がないので、むしろF-35Aは足並み揃う程度には遅れて構わないようにすら思えます。

というわけで、日本はライトニングⅡ(F-35のコード)でいいのです。幸い日本にはサンテグジュベリはおりませんし。ついでに、ビジリティ云々以前に、ステルス機は静かです。ビジリティの話だけして「見つけりゃ落とせる」とか言ってる自意識過剰野郎を散見しますが、スラスト絞って慣性航行亜音速で山向こうから飛んで来たライトニングⅡがGPS誘導爆撃して抜けていくのとあんたが歩兵用対空ミサイルで発見したライトニングⅡにエイミングするのとどっちが早いか試してみるといい。

最後に、ライトニングⅡがラプターの廉価版に見えるから嫌という人は日本政府がアピアランスやブランドに金払う余裕があるとでも?フェラーリ・イタリアの半額以下で買えるシボレー・コルベットZR1は、フェラーリのどのロードカーよりも速くニュルを周回します。日産GT-Rもお値段そこそこでやはりフェラーリより速い。そういうもんです。

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