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2009年9月30日 (水)

おかえり、J-VX。

 関連リンク1:【東モ09】HVスポーツ、ホンダCR-Z市販版デビュー(ホビダスオート)
 関連リンク2:MOTOR SHOW 97 HONDA / J-VX (ホンダ公式サイト)

 20世紀終盤、ハイブリッド車の息吹が聞かれ始めた頃の話。それは当時、非常に強いインパクトを持って迎えられた。J-VX。ホンダがハイブリッド車のファーストコンセプトとして東京モーターショーでワールドプレミアしたスポーツカー。凄まじくアバンギャルドなフォルムを持ちながら、その姿に誰もが共通の車のリスペクトを感じていた。ホンダの歴史に残るFFライトウェイトスポーツの代名詞、CR-Xである。

 空力処理が大変複雑で(リヤの切り落としによる引っ張り防止は当然のことながら、フロントの抜きとリヤ下のディフューザーとまるでレースカーばりのことをやっていた)、このままでの市販はないだろうと思いつつも、CR-Xに近い車がハイブリッドという当時未知の技術で市販されるヴィジョンに、ホンダファンの皆が胸を躍らせていた。

 結果的に市販されたのが初代インサイトである。確かにCR-Xっぽさはあるが、相当なイメージの乖離にJ-VXを期待したファンは随分落胆した。しかし、既に種は蒔かれていたのである。そのおとなしい見た目とうらはらに、インサイトは大胆にもアルミボディをおごり2シーター化するという徹底的な軽量化を図り、空力特性においても市販車で可能な最大値と言えるレベルの処理が施されていた。

 売れば売るほど赤字ということもあり前面に出ることがない車になってしまったが、乗った人々は口々に言った。「ライトウェイトスポーツなんてもんじゃない、あれは新しいジャンルのスーパーカーだ」と。誇張ではない。坂道には弱かったが(笑)、おそらく平坦地において同等の排気量どころか+500ccあたりまで見ても、この車と競ることができる車が何台あっただろう。当時のシビックRもかくやのハンドリングに、たった1000cc、ただし電気的に増力されたユニットが乗っており、ただでさえ空力に優れるところ、現行の主要な軽自動車より軽いというとんでもない車重を実現していた。結果、狂ったような加速をする化物マシンに仕上がっていたのである。フル加速を実際にペダルを踏んで体感した人は言う。
「なんか、おかしい。物理法則が曲がったかのような印象がある」
 過去に例がないレベルの空力処理と、未知の技術である電気アシスト式ハイブリッド…ホンダIMAによるマジックがそこにはあった。量産車が路上でもたらす体験としては、もちろん初めてのものである。

 残念ながらアルミボディであること、そして希少車であることから、この車を本気で振り回した経験を持つ人は少ない。MT車に至っては数えるほどで(ちなみにスポーツシビックやデルソルによく似た、ソリッドでシャープ、かつクイックなシフトだった)その希有な体験は伝聞でのみ伝わっていた。当時著名だったモータージャーナリストがこきおろしたせいで真実は表面では伝わらなかったが、好事家の間でインサイトは伝説だった。「いつか持ちたい」今でも思わせている車である。

 その後、ハイブリッド技術はトヨタ主導の空気になり、ホンダのIMA装着車は残念ながら影を薄くしていった。しかし、前回2007年の東京モーターショーのホンダブースで、1台のハイブリッド車がセンセーショナルにワールドプレミアされる。CR-Z。名前からして明らかにかつての名車CR-Xの系譜。低く構えたスタイル、そしてお約束のリヤエンドの空力処理。当時の社長はきっぱりと言った。「2010年を目処にこの車を市販する」と。

 多くのホンダファンがその約束を信じ、車の買い換えをペンディングした。実話である。

 そして昨年、二代目のインサイトが普段使いの車としてデビューした。ライバルとされるプリウスと比べるとスポーティと言われており、事実流石世界戦略車、同社の上位クラスが持つ落ち着きを備えた車に仕上がっている。はじめに脚ありきの会社の仕事らしい。これでもいいか、そう思ったファンも多かったようだ。(私もその一人である)

 しかし、待たせたファンをホンダは裏切らなかった。
 東京モーターショーでの展示メニューが本日正式に発表され、その中に当然の如くCR-Zの先行量産試作機が入っている。前回ショーのものは内装がいかにもショーカー的でこのまま出ないであろうことはよくわかる設計だったが、今回は違う。マスプロダクトに向けて大きく各部の現実的見直しをしてきた。顔立ちにそれほど差はないのだが、ライトハウジングが市販向けの現実的なものに変更されている。そして。

 再検討の末提示されたリヤのスタイリング。それはまさしく「J-VXが市販されるならこうだろう」と思い描かれていた、そのままである。12年の時を経て、「早すぎたコンセプト」は「まもなく路上に出るクルマ」に昇華した。(是非上記2リンクから2台を見比べてほしい)

 グリルまわりのトレンドはユーロスタイルのそれであり、97年時点ではOKだったフロントの意匠は残念ながら現在は実現が難しい。(鋭角的なデザインは、人を轢いてしまったときに致命的となるので、昨今は残念ながらフロントは嵩上げされる傾向が強い)そういった縛りの中では、かつて技研のエンジニアが未来に托した想いを十分に汲み上げているのではなかろうか。

 ホンダは2回続けて出品したコンセプト車は2回目の仕様で市販する、というのを過去にもやっている。(仮面ライダーディケイドの愛車、DN-01がそうである。一回目の出展の時にあれが市販されると思った人間はほとんどいなかったはずだが、二回目の「カスタムモデルの並行展示」で確実視され、実際二回目の仕様で市販された)

 今回ももしかすると、ノーマルモデルの他に早々に無限ないしモデューロのカスタムモデルが展示されるかもしれない。

 エコカー減税の話ばかりでもうウンッザリの人々にエコカー減税の話をしつつスポーツカーの話ができる。待ち望んでいた時代がようやく来た。スポーツとエコを高いラインで両立しつつ市販まで思慮している会社はそう多くない。個人的主観ではホンダ以外にはVW程度だ。(あそこは継続してスポーツエコをどうしたらどうすれば、と研究している>VW)

 好事家は輸入車買うしかないのかね、と思っているところ、BMWminiがクーペを発表しその優れたデザインに皆が唸って「もう日本のクルマじゃ駄目かな」と思ったタイミングでの発表だった。ショーの規模縮小は残念だが、おそらく空いているであろう会場で、その雄姿をしっかり見てこようと思う。

 ちなみにホンダは今回、オールドタイマーな軽自動車ファンの間で高い人気を未だ持つN360のEV版、EV-Nも展示する。これはたぶん冗談の部類だと思うのだが(笑)、ハイトがだいぶ上がってちと角張りぎみなものの全体の意匠はNコロのそれによく似る。これも楽しみだ。

 二輪は原点回帰とEV化の二極化になるようだが、2輪にデュアルクラッチミッションを積んでくるあたり流石はホンダである(笑)。あんたらまだ4輪でもやってないだろうとw。しかし今回もトライアル車はなかった。残念。

 例の自立椅子車含め、ホンダの技術展示は相当楽しめそうだ。空振りかと思っていただけになかなか楽しみである。

 個人的な話。
 ようやくですな>なーししょー
 いくらになるのかだけものすごく気がかりですけども;

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コメント

まったくいくらになるのかすごく気がかりなわけですが、
とりあえずMTがあって良かった。デルソルのシフトフィール超えてくれると嬉しいんだけど...

運転が楽≒運転が楽しくないという事を痛感するこの頃。デルソルいい車だったなぁ。

投稿: 中山 | 2009年10月 2日 (金) 00時02分

CVTのインサイトは低排気量のレーシングカート的な気軽な面白さがありましたよ。なのでCR-ZにMT以外の設定があっても否定はしませんでしたが、今回デザイン的にS2000のポジションも継承する車として、MTで来るのは必然だったのかな、と思います。

ちなみにホンダのFFのMTではデルソル・スポーツシビック・インサイトがフィーリング頂点ですよ。後発のタイプRとかシフトフィールはよろしくないです。インテRの最終型とかふにゃふにゃだし。かっちり作るって発想がそもそも無かったみたい。

とりあえずシフトがちゃんとフロアにあってよかったです(笑)。いくらMTでもインダッシュだと…ねぇ(笑)。

んでやっぱり値段ですね。素材をどうしたのかで違う筈なんですが…(アルミだったら300万は超えますよね)

投稿: ぬまにゃん | 2009年10月 3日 (土) 03時56分

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