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2008年2月17日 (日)

科学考証の違和感モード

 お話を純粋に楽しんでて、展開としては凄く上手いと思ったガンダムOOのルイスさん左手喪失事件。死亡は絶対無いと思ってた通りになりましたが、指輪フラグがああなるとは。(にしてもあの味のあるお母様が亡くなられたのは残念)サジ君の気持ちを考えるとめちゃくちゃきつくて実は先週翌日までそれで鬱々としてたりもしたのですが、一方で感情に影響しない部分の私が「問題ない」という結論を繰り返し頭の中で出してたのですよね。

 300年も先の世界です。医療分野は軍事分野同様、相当進んでいる筈です。医療工学でとうにサイボーグ兵が生まれてる筈で(米軍は確か50年以内の具体的プランとして既に着手してる筈ですが)そのスピンオフで神経フィードバックがあり実際の手と遜色のない義手がとっくに開発可能になっている筈です。ぶっちゃけコブラのサイコガン抜いてない時の手みたいなのが。でも、ルイスの手はきれいさっぱり元通り、サイボーグ化も必要なくものの2年程度で元の美しい手に戻る筈です。

 再生医療。日本が最も進んでいる分野で、その名の通り本人の身体+別な媒介を経由してクローンなどに頼らず特定の部位を構築して、それを移植することで組織再生をする技術です。まだ宗教の話なんかしてるところを見ると医療に対する倫理観の話はあるはずですが、再生医療は何も犠牲にせず行えるのでそれらに抵触しません。「この」社会においてはクローン培養よりより予算が投じられる可能性が高い技術です。実際、ここ10年で過去には絵空事だったレベルの事が既に実現できています。(四肢まるごとは流石に無理ですが、神経節や筋肉なんかは再生できていて、当然血管や皮膚も可能ですからあとは骨くらいじゃないでしょうか)現時点でこうなので、300年後は前腕欠損くらいなら開放骨折と同レベル程度の外傷扱いかもです。PTSDの方が重いでしょうね。ルイスのようなケースだと。精神医学は工学的制御での強制改善が研究されていますが、そこまでやるかどうかの裁量は患者の意思によるでしょうし。

 そして、流石に、瞬時に全身蒸発した人間を再生させることは無理でしょうけど。

 太陽光発電の仕組みやおそらく太陽炉の仕組みについては熟考された設定が存在するのだと思います。ソレスタルビーイングのバックボーンの設定についても。日常生活の小道具についても同様です。軍事関係で大きな違和感は、まだ兵器に人が乗ってることくらいでしょうか。少なくともユニオンは300年後、人を乗せた兵器を飛ばさない筈です。どうしても歩兵が必要な局面にサイボーグ化兵が配置され、あとは全てドローンというシステム戦略になっている筈ですが。(予算さえ膨大にあれば20年以内に実現可能だと思われます)グラハムのような誇り高い空の男はとうに絶滅していると思われます。

 社会情勢についても。そもそも初期の段階でのユニオン/人革/AEUの旧所属国家に妙に違和感がありました。先50年のパワーバランスで見てもあのくっつき方はないと思います。ユニオンを米国主導のグループと考えた場合、その流れについていけない国が100年以内に確実に離反します。その数は相当多いと見ますし、中には日本も確実に含まれると思います。しかしそのグループが中国と手を組むかというと、組まないでしょう。ロシアの分裂がモスクワだけというのがあり得ないですし。あるとして回教圏の国家が保護的に分離を国連から促されて渋々、という形になると思います。で、中国はあの規模単体の国家として先100年の継続はないと思います。中央のやり方に外側がついていかないでしょう。中国は中東・南米系とくっつくグループと東南アジア・アフリカ系、そしてEUの一部とくっつくグループに割れるように思います。EUからAEUへの移行もなさそうです。スタンドプレーが目立つ国から福祉重視のGNP低めの国家群が次々離反するでしょうから、歩調は合わないと思います。ぶっちゃけフランス・イギリスが嫌われて離れることになるかと。フランスが中国共産党とくっつくのでは、と見ますが。そしてその他のEUの小国群とロシア、そして日本が北ユーラシア連合としてくっつく方が現実的に思えます。
 ユニオンが一番わからんのですが(苦笑)。北米とイギリス、他はオセアニアと南米の一部くらいしか支援国家が思いつきません。オセアニアは現状のスイス同様、どこにも属さない可能性が高いエリアだとも思います。

 前世紀に社会主義が100年かけた壮大な実験と言われましたが、200年以内に資本主義も「数百年かけたさらに壮大な実験」として扱われ、将来はまた別な、両者の間のバランスの(現状で言うなら比較的左傾化した)世界に落ち着くと思われます。資本主義国家の一部が格差の拡大に耐えきれず、一度「共産主義と何が違うのか」というレベルまで統治による安定化を試みて失敗するのではないかとみています。まあ、現状でも「違うのは言葉の表現だけで、その実やってる事は同じ」という側面は左右双方に見られる傾向なわけですが。

 物語が面白く、メカの動かし方が上手いだけに、半端にリアリティのある世界観が奇異に思える作品になってしまっているように感じます。でたらめをやるなら徹底した方がいいのですよね、本当は。

 にしてもガンダムになろうとする刹那とそれを見守る周囲の構図は、テロリストという世間的扱いも含めてWの主人公たちにやっぱり似てますね。尤も、ヒイロの場合はなろうとしたのではなく単にその行動で、視聴者を含めた皆に「奴こそが(イデオロギー的な価値観コミで)ガンダムそのものだ」と納得させてしまったわけですが。奴が乗ればリーオーすらガンダムになる。あの5人は皆そのレベルでしたが、行動理念まで個人の域を超えていたのは主人公ただ一人だったわけで。

 今期で結末を見ず一度間を置くらしいという話を聞きましたが、どう中断するのかとても気になるところです。

 

 少々愚痴になりますが、サジ君はちょっと腰が引けすぎだよなぁと。あれほどの言葉を貰って、聞くだけの男は、だいぶふがいない…。まあ、行動あるのみのタイプなので口にしていないだけなのかもしれませんが、私ならルイスの言葉には素直に同意しなかったと思う。すぐにスペインに行くだけの行動力があるなら、ルイスの気持ちを動かせるだけの言葉を伝えてあげてほしかった。

 なんかなぁ;「私なら…」ってのは現実だけで十分なんだけど。

 敵ガンダムが出て以降、展開にご都合主義が目立つのも気になります。脚本はずっと黒田さんな筈だけど、息切れかなぁ…。人は上手く書けてるのに、いざ戦闘となると「これができてこれはなかろう」と「これをやったらこれは無理だろう」が交錯しすぎてて。(今回もナドレの神通力をお披露目したシーンで、あんなことする暇あったら普通に以前ティエレン宇宙型相手に取ったのと同じ戦い方をしてれば即時殲滅可能だった、という矛盾が)

 ただ、こういう世界観の物語で、ああいう立場の主人公に「神などいない」と言い切らせたのは賞賛に値すると思います。

 輸出できない作品になった気はしますけどね(笑)。

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