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2006年2月11日 (土)

30年の枷がついに崩壊モード

 日本のモータリゼーションを長きに渡って停滞させた悪書「間違いだらけのクルマ選び」が、事実上廃刊になりました。今出ている最終版は新情報一切なしの総集編なので、前回の分までで終了という事になります。事前にこれといった発表もなく突然終了となったわけで、年2回発行にして程なくということもあり、余程の気まぐれないし理由があったものと思われます。

 他サイトさんで検証されている方がいらっしゃいますが、そもそも再三言っている通り指摘が的外れなだけでなく、この本が「本音で書いているという意味でエポックメイキング」だと勘違いしている読者のあまりの多さに辟易するわけですが、本音のレビューは元々カーグラフィック誌の編集長さんはじめライターさんが徳大寺氏よりずっと前から的確に行っていたことで、別に目新しいものでもなんでもなかったのです。カーグラフィックTVが始まる前の動画映像さえちゃんと現存します。それが、あまりクルマをわかっていない上にもっともらしい文章を鵜呑みにする(自己思考能力の低い)読者がころっと騙されたお陰で、今日まで的外れなレビューや個人的逆恨みによる特定メーカーへの誹謗中傷など、全くナンセンスな主張が展開される温床となってしまいました。悪い意味でベンチマーク的レビューが構築されたことで、日本のモータリゼーション、ないし自動車マーケットは大きく歪みました。

 しかし昨年あたりから事態が急転します。その権威を疑われて久しかった日本カーオブザイヤーの投票日前日のメーカー/マスコミ間の交流パーティーが廃止され、根回しの類が一掃されるや、徳大寺氏が個人的事情で誹謗中傷を続けていたマツダのロードスターがCOTYを取るという、あまりにもわかりやすすぎる展開が発生したのです。
 氏はヨーロッパ車をベタ褒めするわりには上手にヨーロッパ的水準を満たした日本車をけなすという歪んだ権威主義の持ち主ですが(貧乏人はぐでんぐでんの日本車乗ってろという見下し思想だと思います)、RJCカーオブザイヤーも「従来のスズキではありえないレベルの欧州車的完成度」であるスイフトが取ったので、「日本には日本の車」ではなく「ワールドワイドに通用するものが本当の名車」であるという考えを啓蒙しようという動きが浸透し始めた事に居心地の悪さを感じたのでしょうか、あるいはここ数年の日本車のレベルの向上に、持ち前の「それらしい懐古主義を引き合いに出してもっともらしい文章を書く(その実、別に昔の車の事など引き合いに出す必要はなかった、全く安全/環境基準が異なり、昔と同じ車が作れないのは氏もコラムで書いているので承知している筈の事)」という芸風がもはや使えなくなってきたのも原因かと思われます。全くつまらん話で。

 最終版も見ましたが、結局のところ「これは褒めないとバカだと思われるだろう」と思われる車は褒め、あとは完璧に偏った書き方をしているのがよーくわかりました。ひとまとめにしたらあからさまに一定の趣味を持って書かれたのがさっくり浮き彫りに。これに踊らされて車買った人は本当に気の毒な気もしますが、そもそも本だけ見てわかった気になって試乗もせんと車買うのもおかしいことなので、そういう妄信者の皆さんには思想を放棄した分のツケが回ったもんだと考えて、一切フォローはしません(笑)。

 あとはわかったつもりで書いててその実めちゃくちゃな中身の「運転術」系も一掃されれば、マナー面でも随分マシになると思われます。これで少しでも「自分が買う車の価値について消費者自身が熟慮し、ライフスタイルを構築していく」という動きが加速すれば良いのですが。

 ともあれ、一連のシリーズの終了をおおいに歓迎します。
 氏にはこの際、客を騙して得た十分な額であろう印税で、とっとと隠遁生活に入って頂きたく思います。あと、いい機会なんでこのシリーズないし氏の崇拝者の皆さんは本当に書かれている内容が正しかったか自分なりに検証してみることを勧めます。

 ああすっとした(笑)。

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コメント

なんか徳大寺こそが悪の枢軸みたいな論を展開されてますが、
私の意見はちょっと異なります。
あんまし言ったことなかったんでせっかくだから書かしてもらいますね。

少なくとも76年に最初の「間違いだらけ…」が発刊された時には確かにインパクトはあったし、特定のメーカーに媚びる~あるいは卑下するような記述はなかったと記憶しています。・・・80年代前半くらいまではそれは変わってなかったと思う。
CGのレビューが当時からメーカーに媚びない公正なものであったのは確かで、その意味では決してエポックメイキングな内容ではありませんでしたが、当時のCGって今では考えられないほどエンスーで特殊な本ってイメージがあり、一般のクルマ好きがみんな読んでるような雑誌ではなかった。
それがようやく「間違いだらけ…」でちょっとクルマ好きのお父さん~お兄ちゃんが目にするレベルにまで下りてきた。そういう功績は忘れてはならないと思います。
"ガイシャ"がとても遠い世界のものだった時代(特に地方)正直この本で初めてVWゴルフの名を、そしてクルマを評価する尺度に豪華さと速さ以外のものがあるということを、知った人も多いんじゃないかな。
なお、80年代以降については、もうまったくぬまにゃんの書かれてることに同意であります。その間に何があったのかは知りませんが。
ただ、ロードスターについては氏は一貫して評価してますよ。べつに貶してはいないと思う。

あ、それから「間違いだらけ…」は出版社を変えて続くなんて不穏な噂も聞きましたが、それはさすがに…ねぇ(汗)

投稿: しろなの | 2006年2月13日 (月) 00時19分

貴重な意見をありがとうございます。私が最初にこの本を読んだのは79年のものだったと記憶しています。内容について特に印象的だったのは、国産車の話ではありませんでした。メルツェーデスは素晴らしい、ジャグワは素晴らしい一辺倒の、海外高級車至上主義的な部分です。車の出来はともかく当時からメルセデスは「なんて下品な車が世の中にはあるものだ」と思っていましたから、ぴんとこなかったのを覚えています。私の持ち物ではなかったので結構後まで家にありましたが、免許取ってから読んだら若葉マークの素人でさえ「おいそりゃなかろう」と思うような論理展開が多かったように記憶しています。ヤナセが取り扱い車種を全てブランド品として売ろうとしていたのは明確ですが、メルセデスとVWでのみ成功したのは徳大寺氏の後押しがあり、特にメルセデスが過剰繁殖に至ったのには物陰で何かあったのではないかと邪推してしまう程です。

なにせ子供の頃の事なので、70年代後期にディーラーが試乗車を持つという概念があったかどうかは不明ですが、少なくとも展示車はあった筈です。実際に物を見てみるというアプローチにしなかったことに個人的には疑問を覚えます。あと、とりあえず一般普及レベルに本音記事を下ろしたという点を初期段階においては評価するにしても、その段階を経過して、劣化の一途を辿った後、そして今に至るまで、「もはや宗教と言えるレベルで盲信する読者がついた」のはまずかったと思います。これは氏の責任ではない…ように一見見えますが、人が毒舌家に単純に惹かれるのはジャーナリストの売名方法の定番、というか強ネガティブにシンパシーを覚えることで快感を覚える層が多いのはあらゆるメディアで共通の事なので、よくある「時のタブーらしきものを破ったかのように見せて売る」を確信犯的にやってきた、という印象しかありません。

ゴルフの啓蒙についての是非は、私はIIまでは世代じゃないので直接は言及しないでおきます。ただ、地方在住の開業医さんなどの娯楽の定番といえば外車の購入だったので、ほっといてもゴルフは流行ったのではと。逆に、いきなりベンチマークを持ち上げたことで、海外他社の車が入って来づらくなったという側面は確実にあったと思います。(ハッチバック主体系メーカーの正規輸入元が二転三転したりする状況が続出したのは、VW…というかゴルフが御輿にかつがれたせい、という印象があります。しかもゴルフだけが押されて、他のモデル…例えばクーペ系はともかくセダン系に光が当たらなかったのも事実だと思います。

で、最終版でも確認できますがユーノスロードスターは褒めています(95~96年版でも確認)。が、私の記憶ではNBが褒められた記憶はないです(モデルチェンジできないだろう→それみたことか)し、NCは評価に間に合わなかったような。96年版の時点でNAデビュー6年目で、そこで「海外があれだけ対抗馬を出してきているのに国産が打って出ないのはどういうことか」という記載があり、後にMR-Sが出るや完璧に乗り換えたところを見るだに、「これは褒めないとバカだと思われる車」としてやむなく持ち上げてたという印象アリアリです。この芸風も鼻につきます。強風が吹くと突然風見鶏に変貌するという(苦笑)。

そうそう、最終版で一見褒めているランティスですが、発売直後のレビューを掲載して持ち上げているものの、後年グダグダにけなしています。ランティスが出て向こう終息するまでのそう長くない期間に何があったのかは不明ですが…そもそもいつなんでしょうね、氏の中傷のターゲットにマツダが入ったのは。

今回の件は単なる草志社との揉め事ですか?だとしたらがっくりです;自動車マスコミとうか出版業界に少しでも拝金主義でなくもっと別な心が残ってるなら、頑なに出版を拒否してほしいところです。

投稿: ぬまにゃん | 2006年2月13日 (月) 05時55分

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