« わかっちゃいるけどやめられないモード | トップページ | DoA4が面白いけど疲れたヨモード »

2006年1月 2日 (月)

媒体における費用の話モード

 昨日の話の続きになります。

 実は会場で、PCを持っていないから、という事で購入を見送られた方や、紙時代(試乗記がついていたと仰っしゃってたので、2002年発行分ですね)のお客さんで、「やっぱり紙がいい、また是非紙で出して。この内容で紙なら千円でも買うよ」と残念そうに仰っしゃった上で購入を見送られた方がいらっしゃいました。特に後者のお客さんには申し訳無く思いますし、実際「紙の本を手にする満足度」というのは私も十分に理解しているつもりです。しかし、具体的にコストを計算すると、現状の部数で現在の内容を他の方法で頒布するのは難しいという結論に至るのが正直なところです。

 今回、うちの本はデジタルデータのおまけを除いた本の部分2冊をさらに1冊にまとめることでページ数の削減を図ったとしても60ページありました。サイズはA4です。

 白黒による自家出版をまず考えてみます。モノクロレーザープリンターでA5版40ページ以下でやっていた頃でも、50部で軽くトナー1本持っていかれました。トナーは1本8500円で、正直論外だったと言えます。いつ切れるかわからない以上、トナーのストックは2本は必要で、となると17,000円の先行投資が紙以外に必要だったわけで。まあ、30部にマイクロドライのカートリッジ14本使った1号よりはずっとマシでしたが。
 コピーでやった場合安くて1枚5円ですが普通は10円。A3に両面刷って4ページ稼ぐとして、1枚両面で20円、それでも表紙抜き40ページでもうコストだけで200円です。
 インクジェットでカラーを交えた場合、となるともう想像もつきません。インクをCYMK1本ずつ使い、カラーインクの減りは原稿次第なので、算段がつきにくいです。しかしとりあえずCYMK1本ずつで3400円ほど最低でもかかり、CYMとKで値段が違いますが840円から890円はかかります。A4で60P、50部仮定でも1セットでは済まない筈。モノクロの場合は一番安上がりではありますが。(キヤノンの文書用黒顔料が使えるなら、印刷のキレはレーザーをも凌駕するので、白黒少部数なら魅力的な手段です)

 いずれの場合も、直でコピーする以外は紙が必要になります。コピー用紙は安いから、と甘く見ていると意外に大量に消費するので驚くと思います。安いコピー紙はインクジェットと相性があまりよくないので、うちの場合見本の出力には上質紙を使っていますが、そうなると紙自体のコストが跳ね上がります。そして全ての自家出版に共通ですが、一番厄介な「製本の手間」が確実に発生します。これがあると執筆者さんの〆切を相当手前にしなければならなくなり、ギリギリまで頑張ってもらうのが難しくなります。また、ヘルパーがいない場合、製本で確実に疲弊します。(製本後に夜行バスで会場入り、はまず体力的に無理です。現地で製本できるのはページ数が少ない本まででしょう)

 自家出版した場合の価格以上のネックは搬入です。紙は重いので、恐るべき苦労を覚悟しなければなりません。印刷会社発注同様直接搬入を宅配業者で行えますが、当然送料はかかる上、コミケの場合は受取りにも手数料が発生します。そして、完売できなかった場合の帰りの発送、そして自宅における在庫保持空間の必要性は紙であれば共通で存在します。

 続いて印刷屋さんにお世話になった場合。ある印刷屋さんのチラシを参考にしてみます。(実際にはもっと安く済むところもあるかも知れません) 表紙/本文モノクロ60ページ、A4で100部(最低部数)、という条件の場合、基本料金は62,640円だそうです。早期割引で本文は1割程度安くできますが、参考にしたお店ではどうも55,000円をどうやっても切れないようでした。ようするに儲けを出さなくても印刷代還元だけで1部600円、コミケへの申込諸費のペイを考えると700円にはなります。見た目さっぱりな白黒誌でそれです。サイズをA5に落としてページ数を倍にするという手はありますが、価格はほぼ同じです。紙モノにおける共通の悩みであるデッドストックの保管場所問題は当然発生します。

 とりあえず何をどうしても紙で現状のスタイルを上回るのは納期まで考えると不可能に近いのはこれでご理解頂けたかと思います。

 余談になりますが他の業者委託手段。

 まずはとあるCDプレス専門店に依頼した場合の参考価格です。CD−Rのデュプ代行をしてもらうと1〜50枚で13,000円、51〜100枚で25,000円だそうです。ラベルプリントは当然無し。これなら当然自宅でやります(^^;。
 きちんとプレスかけた場合。国内と海外で価格が違ってて、海外だと安いですが500枚からになります。製造単価100円にできる(現状の価格で参加費回収できる)ので悪くないですが、メカミリ自動車島で500部売るサークルがどれほどいるか疑問なのは私だけでしょうか(^^;。国内プレスだと100枚単位に敷居は下がります。ただし少量になるほど高価で、100枚だと1枚750円になっちゃいます。200枚だと415円、300枚だと300円と少しずつ下がるのですが…。ちなみに大手のサークルさんがよくやってる、完全に商用CDと同体裁の完パケセットというのもありまして、数が出せる(500枚以上)なら悪くない選択肢であるように思いました。海外プレスなら280円からです。ゲーム系のサークルさんで、作品に自信あるならやってみてもいいのではと。(シスプリガントレットの作者さんは「うちは自前でデュプリケなので数作れないんです」とおっしゃってましたが、あの出来なら500枚発注で完パケしてショップ委託で十分利益回収できるのでは?と思いました)

 続いてダウンロードサイト。これは業者名を挙げちゃおう。エルフィックスというところです。卸価格0円(売れても手取りなし)でも販売価格315円です(笑)。卸価格400円までは卸価格+手数料300円に消費税、以降卸価格が上がるにつれて手数料も上がるカタチ。
 流石に卸価格0円では次に繋げられないので(^^;最低ラインとなる100円で卸すとすると、頒布価格は420円になります。お客さん側から見ると通販でクロネコメール便発送・銀行もしくは郵便局に送金の総合計より若干安いのでいいかもですね。まとめ買いによるメリットが発生しませんが、リピーターさんにはいいかも。でもできればラベルプリントされた現物を会場でお話がてら入手して頂きたいので、コミケに来られる方には直接買いに来てほしいなぁとは思いますw。あと、エルフィックスは芸風としてはとらのあなみたいなもんなので、ウチのは間違いなく場違いだなぁと(^^;。

 と、いろいろ紹介してみましたが、結局のところオンデマンドに増刷できてしかも安価で内容も相当な量になる現在のシステムが、現時点では最良であるように思います。
 壁に行くくらい大手になったら紙版も考えますが、ありえないですし(笑)。
 PCはあって損をするものではありませんし、印刷環境次第では商用誌並みの出力も可能ではあります。現状実はPCでの閲覧に的を絞って用紙サイズぎりぎりのレイアウトをしています(=印刷時閉じ代がありません)が、「印刷して読みたい」という声が多ければ次回編集時から右上か左上の隅にホチキスを打つための空間をつけようと思います。(平綴じでやろうとすると片面印刷の方と両面印刷の方で綴じ代の向きが変わるので、もしやるとしたら片面向けに片方を空けると思います)この点ご意見がある方はコメントでどうぞ。
 違う意味であやしい(^^;記事や実行ファイルなんかはありませんから、どこのPCでも痕跡を残さず閲覧できますので、ネカフェなり図書館なり職場なりでもお楽しみ頂けるようにはなっております。案外古い環境でも大丈夫ですから、PCが現状手元にない方でもコーヒーなり紅茶なり1杯我慢してお手元に置いて頂ければ幸いです。

 次回からはWindows向けにはオートランを仕込んで初心者さんにもわかりやすい作りにするつもりです。(現状、PCがちょっと使える程度の知識は要りますので、もっと初心者向けの説明もつけようかと)

|

« わかっちゃいるけどやめられないモード | トップページ | DoA4が面白いけど疲れたヨモード »

コメント

この話だが、ガッコで交通工学習った自分には身につまされる話がありまして。
「トランスポーテーションプア」という言葉があるんですわ。つまり貧乏人は自力で自動車等の交通手段を持てず、また駅に近い場所にも住めない(地価・家賃高いからね)。いきおいそういう連中が交通的に真空地帯に集まらざるを得ず、無論ロクな職がない。刹那的犯罪が起こる。治安悪いから公共交通は据えない。かくて貧乏スパイラルに陥る。
いま「情報」について全世界規模でおなじ現象が起こってるんですな。インターネットを使えるか使えないかで、手に入る知識にはシャレにならない格差が生じてしまう。中国なんかはそれに気づいてて情報を遮断しまくっているが、かわりに携帯電話が普及していてこっちは押さえようがないので、いつか堤防は決壊する。
問題は「情報が力であることに気づかない人、または初期投資ができない人」で……
例のAMDの超低価格BOX、Windowsのスーパーモンキーバージョン等は批判は多いが、人類への貢献だと思っています(ま、中国・韓国人は「コピーならタダだよ」と思ってるようだが)。本来ドリームキャストやSTBなども普及すべきなんだろうが。
まあ、携帯電話がW-ZERO3並・メモリ1GB程度になったら全部解決しちゃうんですがね。無線の名刺交換モードでだーっとPDF相手に流し込めばいーんだから。

投稿: なかた@T | 2006年1月 3日 (火) 23時13分

で、情報に対する対策でAMDのモンキーモデルがあるのとおなじ要領で(むしろODAでアレをばら蒔くべきだと思うが、情報侵略と嫌がられるだろうな)、トランスポーテーション対策として人類に貢献しているのが何かというと……

ヒュンダイ他。

歯がゆい話ではあります。
まあロガン、107と「ちゃんとした低価格商品」の投入も進むがあのへんではセダンが大事なんだよなあ。

投稿: なかた@T | 2006年1月 3日 (火) 23時16分

ヒュンダイはここ5年内にそう安く作れなくなると思います。というか、安いものがいいなら☆0の中国製に絶対敵わんわけで(笑)。現物を見てみたいもんです、☆0とはいえ内装とかは案外大事にしていると聞きますがいかに。

XBOX360はそこいらのノートパソコンをはるかに凌駕するスペックになかなかの性能のシェルを積んでいるわけですが、あれにPDFビュアとWMPが入ってくれればうちのサークル的には何ら問題なしなのですけどね。HDDたった20GBとはいえAdobeReaderを入れるには十分な空間なわけで。

投稿: ぬまにゃん | 2006年1月 7日 (土) 10時26分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/95939/7963488

この記事へのトラックバック一覧です: 媒体における費用の話モード:

« わかっちゃいるけどやめられないモード | トップページ | DoA4が面白いけど疲れたヨモード »